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遺産

遺産

遺産とは、被相続人が死亡時に有していた財産。

積極財産
1 現金
2 預貯金
3 有価証券
4 不動産
5 美術品などの動産
消極財産
1 借金
2 保証債務
3 未払い医療費
4 未払いの税金
5 その他支払い義務のあるもの

その他、相続開始時(死亡時)には既に贈与等をして被相続人の財産でなくなっていた場合であっても、それが次の『特別受益』や『遺留分の計算をする際の持ち戻し』の対象となる場合には、相続財産として計算されることになります。なお、相続税の計算にあたっては、相続開始から3年以内に贈与されたものは相続財産としてみなされます。

【配偶者居住権】
被相続人の配偶者が全部の財産を相続する場合や、居住している自宅は被相続人の配偶者が単独で相続して、それ以外の財産について法定相続分を基準に分けるような場合は特に問題はないのですが、被相続人の自宅を含む全ての遺産について、法定相続分を基準にして遺産分割協議をすることとなった場合、例えば被相続人の財産の大部分が自宅であるようなケースでは、被相続人の配偶者の住居と今後の生活費の確保の両立ができないような場合があります。

そこで、被相続人の配偶者が、相続開始時点で被相続人名義の建物に住んでいた場合には、その配偶者は建物の「所有権」という権利ではなく、「終身(又は合意や法令に基づく一定期間)、無償(固定資産税等の必要費は除く)で居住する権利(=配偶者居住権)を新たに取得することができるようになりました。

配偶者居住権の評価の仕方は、やや複雑ですが、基本的な考え方としては、所有権の評価額を基準にして、建物の残存年数(耐用年数の残存期間)やその配偶者の見込み居住年数(平均余命などを参考)などから計算することとなりますので、所有権の評価額と、配偶者居住権の評価額の差額分について、配偶者が今後の生活資金として、被相続人の現預金を相続することができる余地が生まれることになります。

ちなみに、配偶者居住権は新たな財産権として、遺産分割協議だけでなく、遺言や遺贈によっても指定することが可能ですので、遺言書を作成する場合で遺留分を考慮する必要がある場合には、配偶者居住権を指定することも検討する必要されるのが良いかもしれません。

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特別受益(法定相続の場合に相続開始時の遺産に加算するもの)

特別受益とは生きているうちに、被相続人(亡くなった人)から特別の援助を受けた場合(商売の資金援助、マイホーム資金など)に、これを無視して、相続分を計算するのは、不公平になるため、被相続人が生きている間にもらった分は、相続分の前渡しとして、計算することです。

01.持ち出しを行う

具体的には相続される人(被相続人)には、奥さんと、長男と次男がいるとします。長男にのみ、生きている間に、マイホーム資金として1000万円を贈与していて、次男には、贈与はなかったとします。そして、遺産が、3000万円だった場合、3000万円に1000万円を足した、4000万円を分割する相続財産として、遺産分割します。

02.法定相続分で相続財産に分ける

これを、法定相続分でわけると、奥さんが二分の一の2000万円、長男が四分の一の1000万円、次男が四分の一の1000万円となります!しかし、ここで、長男が1000万円をマイホーム資金として、提供を受けていたので、これを差し引きます。よって、長男の相続分は0円ということになります。特別受益分が最後に差し引かれます。 なお、特別受益の金額よりも法定相続で計算した金額が大きく(仮に特別受益の金額が2000万で、法定相続分が1000万円)なっても、その差額を返還する必要はありません。
また、被相続人が特別受益の受け戻しを行わない旨の遺言を書いていた場合には、この持ち戻しは行われません。(ただし、その場合でも遺留分の持ち戻し、相続税の算定の基礎には変更がありません)

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遺留分

遺留分権利者とは被相続人の「兄弟姉妹以外の相続人」であり、遺留分は、被相続人の配偶者または子が相続人となる場合には、「被相続人の財産の2分の1」、直系尊属(父母、祖父母、曽祖父母…)のみが相続人となる場合には、「被相続人の財産の3分の1」です。

そのため、相続人の兄弟姉妹には遺留分はありませんので、被相続人が生前相続人以外の者に遺贈する内容の遺言を作成していた場合には、兄弟姉妹には全く財産を引継ぐことがありません。
あくまでも、遺留分は残された家族が今後の生活の糧を保証するために定められた制度であるため、遺産の全てを100%自由に処分できるものでないことを定めたものです。

ただし、遺留分を侵害する遺言が無効になるという訳ではなく、あくまでも遺留分権利者が「遺留分侵害額請求」を受けたときは、侵害している遺留分に相当する金銭を支払う必要があるというものです。しかしながら、その「遺留分侵害額請求」がなされると、その額等について訴訟や調停といった裁判所の手続きを選択されるケースも多くみられます。そのため、遺言を作成する際には、遺留分を十分に考慮するか、「遺留分の侵害額請求」がなされないように生前十分に遺言の内容について相続人に理解をしていただく必要があると考えられます。

遺留分算定のための持ち出し

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寄与分(法定相続の場合に相続開始時の遺産から差し引くもの)

「被相続人の事業に関する労務の提供または財産の上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により、被相続人の財産の維持又は増加につき特別の寄与をした者」については、寄与分が認められます。
もう少し具体的に説明をすると、特定の相続人のお陰で財産が増えたとか、被相続人の支出を減らした場合に、その増加分や支出を免れた部分を、その特定の相続人に与えるという、いわば遺産の精算的な意味合いがあります。

ただし、寄与分の確定は基本的に共同相続人の意思又は家庭裁判所の裁量に委ねられているため、被相続人は、遺言で寄与分の指定をしても、法定拘束力はないものと考えられています。しかし、家庭裁判所は寄与分を定めるに当たって「寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額、その他一切の事情」を考慮しますので、寄与の実情を明らかにした上で、寄与分に言及することは意味のあることです。

  • 01.相続人の中に、被相続人の事業を手伝った、金員などの財産の給付をした、病気を看病した、その他財産の増加などに特別の働きをした者がいる場合は、その者の働きの評価額(寄与分)を共同相続人間で協議して決定し、その評価額を相続財産から引いた残額を「遺産」と仮定して相続分を計算します。

  • 02.特別の働きをした相続人は、「遺産」の法定相続分にあらかじめ引いておいた評価額(寄与分)を加えた分が相続分となります。

  • 03.寄与分の存在やその額について相続人間で話し合いがつかない場合は、特別の寄与をした者は家庭裁判所に審判を求めることができます。

  • 04.家庭裁判所は、寄与の時期や、方法、程度、遺産の額などといった一切の事情を考慮して寄与分を決めます。

  • 05.寄与分の額は、相続開始時の財産の価格から、遺言により遺贈された価格を差し引いた額を超えることはできません。



【特別の寄与(民法1050条】
上記の寄与分は、相続人にしか認められていません。そのため例えば、相続人である長男の妻が、献身的に他界した義父母の療養看護をしていたとしても、その長男の妻には相続権や寄与分はありません。

しかし2019年の民法改正により「被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(=特別寄与者)は、相続の開始後、相続人に対して、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(=特別寄与料)の支払いを請求することができる」として、特別の寄与分が認められることとなりました。

法律上は、「特別の寄与をした者は各相続人に対して、特別寄与料の請求ができる」とありますので、上記のように先に寄与分の額を決定し、その残額について遺産の分割協議をする必要はありませんが、特別寄与者が存在する場合には、上記の寄与分と同様に、先に特別の寄与分を定めてから、その残額について相続人間で遺産分割協議をする方が、スムーズに進められるように考えます。ちなみに、特別寄与料の算定も「寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情」を考慮して定めることになります。

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